制作集中期間の振り返り① 京都公演「Ripples Out」について

お久しぶりです。おかもとです。
 
京都での公演、アートパフォーマンス作品の発表、とある街とコラボレーションした展覧会の企画、イベントの出演依頼2件、が1ヶ月のうちに詰まっていました。準備期間から含めると9月の前半ほどから、記録をしたり整理をしたり、いわゆる「未来のことを考えるモード」に脳みそを切り替えられませんでした。
 
4月〜5月前までがずっとウンウン悩んでいた時期で、めちゃくちゃ考えた分5月〜7月は効果的に勉強でき、9月〜10月はその集大成的な形で大きな作品をいくつか出せた、と思っています。また手が空いた今こそ、ちょっと凹むくらい考える必要があるのでしょう。方向を修正し、次の成長につながるとても大事な期間なのだと思います。
 
今もまだ会期中ですのである程度緊張状態ではありますが、手は空きましたので改めてちゃんと振り返りを行っていきたいと思います。
 

 

【この期間で新たに作った作品】
■京都公演「Ripples Out」
■パフォーマンス作品「さよならの顔」
インスタレーション?メディア?オブジェ?「在る/居る」
 
 
全て書いていくと膨大な量になりますので一つずつ書いていきます。今回はまず、「Ripples Out」について。
 
 
■京都公演「Ripples Out」
 

f:id:llllki:20171117181555j:plain

 
「Ripples Out」は1時間のジャグリング公演です。
テーマとしては(見てくれた方の受け取り方は何でもいいのですが僕が作る時にきっかけにした気持ちとしては)「喪失の肯定」です。このテーマでいくつも作っていて、これからも考えていく自分の中で大切なテーマになっていくのだと思います。
 
・「技術」の濃度をかなり抑えた
 

f:id:llllki:20171117181609j:plain

 
テクニカルとしては幕を4つ、舞台上に吊り下げて、そこに映像を投影するという前回公演LOSTSCAPEからかなりパワーアップしたセットになりました。前回は「断片的に見せることで想像力をかきたてる」という効果を狙いましたが、今回はむしろ抽象的な映像だけにして、あえて僕より大きくすることで、僕の内面状態を世界に投影するような形を狙いました。(技法的には、LOSTSCAPEは実写映像が中心だったのに対し、この春から学んだProcessingや After Effectsでの制作を実際に試すことができて個人的には嬉しい形にできました。)
 
ジャグリング公演ではありますが、実は60分ほどの中でちゃんとジャグリングをしているの20分ほどしかありません。風車を見つめたり、傘とリングを合わせた動きを行ったり、風車をじっと見つめている時間だったり「技」が入っている時間はかなり少ないのです。というのも、やはり「技」をメインのコミュニケーションメディアにすると、「すごい」「珍しい」「難しい」という、「びっくり」が伝わるものとして大きな比重を締めてしまいます。そういった側面も大切ではあります。でも、もっとジャグリングという手段でしか伝えられないものもあると思っていて、それには「絵」や「意図」に重点をおくべきだと思うのです。
 
もちろん技術というものを完全に締め出すつもりはありません。幸運なことに、ジャグリングはパフォーマンスという時間の経過を伴う形式です。例えば、「びっくり」しかないメディアアート作品はただの面白いおもちゃで終わりますが、ジャグリングは、ある部分では「びっくり」で興味を引き、また別の部分では深いコミュニケーションをとる、という形をとることができます。びっくりで興味を引くことでコミュニケーションを深めることができるし、余白の多いパートがあることで、より「びっくり」も引き立ちます。
 
何かを感じる余白を増やすこと、技術を溶け込ませること、をより意識しました。
 
そもそもとして、風車をそっとボールの山に突き刺すことや、リングを不思議な形に立てるだけの行為も、「ものと人の出会い方」という範疇に収まる限り、僕はジャグリングだと思っています。そしてもちろん、高度なジャグリング技術を「びっくり」のための道具にするつもりもありません。道具に向かって真に迫ったコントロールを行おうとするある種の緊迫感は、まず一つ、ジャグリングにしか出せないものだと思っています。どう頑張っても帰ってこない一方的な「もの」へのコミュニケーション。それを観客が第三者として見るという形。もっともっと「ジャグリングでしかできない」を見つけていきたいと思います。
 
果たしてジャグリングでする意味は何なのか。
 
めちゃくちゃに賛否両論割れるだろうと思っていたのですが、存外に好意的な感想をいただけて嬉しい限りです。もちろん、それをする団体だという認知がベースにあって、そこに興味を持って来てくださった人が多かったのでしょうけれども。
 
ジャグリングを見せなければ、と思っていた僕にとって一つリミッターが外れた公演でもありましたし、より「ジャグリングである意味」を考えるきっかけにもなりました。
 
 
・チームで戦うために意識したこと
 
こちらは、パフォーマーというよりもディレクターとしてです。
チームでやることの難しさと面白さを前回よりもすごく感じた公演でした。セットからして僕一人で展開できるものではありません。また、広報を手伝ってくれる新しいスタッフの子を新たに迎えて新しいチーム体制でした。
すべての承認が僕になってしまったので、コミュニケーション量がとんでもないことになり、作品に集中できたのはかなり切羽詰まった状況からでした。権限移譲をうまくやっていかなければと思います。
 
・仕事は基本一人でするもの。
・ミーティングで一人の時間を圧迫するな。
・ミーティングは確認の場なので、議題と一緒に選択肢ももってこい。
・議題は一言で言える質問の形にしろ。
・全員が関わる話以外は議題にするな。
・頭脳労働は集中できる環境が大事、作業はテンションが大事。
・現場で元気なのはそれだけで価値。
 
厳しい形ではありませんが、自分で意識して、そして言いつづけたのは上のようなことでした。
 
基本的なコンセプトとしては「コミュニケーション時間を最低限に」「みんなでいるときは楽しく」です。僕は決断は一人が行ったものに対して他のメンバーが「OK」か「No」を返すだけなのが一番効率がよいと思っています。だらだらとコミュニケーション時間が長く、好き勝手に意見を言える状態が続くのはいつまでたっても物事が決まりません。そして、「楽しい」というのは「発言しやすい」です。基本的にクリティカルな問題は「いいづらい状況」から発生することが多いです。楽しければもっと楽しくしようという推進力が働きます。そういった場では自分のタスクに向かう姿勢も前向きになれますし。この二つさえ意識すればクリエイティブなチームワークができるはず、と決めて徹底的に上のようなことを伝えました。
 
かなり大変でしたが、しっかり丁寧に説明をし、この子は何に向いてて何が弱点かをよく考え、興味を持ってもらえそうな形で渡す、というのを意識して行っていきました。(新メンバー向けお仕事説明資料なんてものも作りました。)もちろんもともとがやる気があって能力のある方々なのですが、少しずつ「これをやりましょうよ」という提案が出てくるようになったり、僕抜きで何か企画が立ち上がったり(まぁ動き出してからは僕がやるのですが!)、僕がミスった部分のフォローにすぐ走ってもらえたり、本当にチームとして良い形になってきていると思います。
 
手が増えるだけではなく、視点が多様になる、というのがやはり一番チームでやる際の利点であって、本当に前回以上に、チームでなければ成し遂げられなかっただろうなと強く思います。ありがたいです。
 
 
 
反省点もたくさんありますが、一つレベルが上がったなと思うのは「1時間のショーはできる」という気持ちを持てたことです。逆に言えば何か新しい課題を見つける必要があるのだと思います。